2007年から商用運行を開始した世界最大の旅客機A380の生産を中止すると製造元のエアバスが発表しました。2021年以降の納入は行わないとのこと。A380はそれまで最大の旅客機だったボーイング747を超える座席数を誇り、航空会社によってはファーストクラスの上に「レジデンス」クラスをもうけ、個室やシャワールームを備え付ける機体も存在、贅を尽くした空の旅を楽しめます。
ところが、2018年末時点で約80機あった受注のうち約40機を発注していたエミレーツ航空がこれをキャンセル。それまでも受注状況はさほど芳しくなかったこともあり、エアバスは「これ以上生産体制を維持する意味がない」として、生産の中止を選択することになりました。
A380の特徴はその巨大な機体でボーイング747ジャンボジェットを上回る、世界で最も有償座席数の多い旅客機とされ、より長距離を飛行も可能としています。しかし時代の要求が大型機による大量輸送から、低燃費でより小さな空港への発着も可能な中型の双発ジェット機へと重要がシフトしてしまったことが受注を伸び悩ませる原因のひとつになりました。
空港運営の立場から見ても、あまりに大きな機体で重量もあるA380は、離発着間隔を大きくとる必要がありました。これは回転を速くして効率化したい空港にはあまり喜ばれない要素でした。
A380のライバルは単純に考えればボーイング747であり、実際に開発時は747を上回ることを目標としていたのは明らかです。ところが蓋を開けてみればA380を尻目に人気を得たのはボーイング787ドリームライナーなど中型機でした。
エアバスはA380の生産中止はするものの、現在の受注済み機体に関しては最後まで作り続けるとのこと。この分のデリバリーは2021年には、終了する予定になっています。日本では現在ANAがA380を3機発注しており、これが5月には就航する予定です。
エアバスのトム・エンダースCEOはA380は生産を中止はする者の、今後も何年も世界の大空を飛び回り、エアバスとしても完全にサポートを続けていくと述べています。
ちなみに、エアバスの最新の決算は、売上高が前期比8%増の637億ユーロ(約7兆9600億円)と堅調な業績を記録。商用機の納入機数が過去最高になったことも併せて発表しました。
エアバス、世界最大の旅客機A380生産を中止へ。エミレーツ航空が大量キャンセル - Engadget 日本版
https://japanese.engadget.com/2019/02/14/a380/