電力の使用状況を計測する「スマートメーター」の火災が相次いでいる問題で、総務省消防庁が今年四月、製品事故の情報を広く消費者に知らせる消費者庁のネット上のサイトに情報を上げないよう、東京消防庁に指示していたことが分かった。この結果、少なくとも六件の火災がサイトに掲載されなかった。取材に対して消費者庁は「当然、報告が必要だ」と述べている。
このサイトは、消費者安全法に基づき、消費者庁などが運営する「事故情報データバンクシステム」。製品の不良や取り付けのミスなどで火災が起きた場合、東京では東京消防庁から総務省消防庁に報告。その後、サイトに登録することになっている。サイトでは一般の人が事故の情報を検索できる。
メーター火災のうち二〇一七年一~七月に発生した十件は掲載された。しかし、今年四月、スマートメーターに疑問を持つ市民団体の集会で担当者が火災について追及された。このころ、総務省消防庁は、掲載を「誤りだ」と東京消防庁に指摘。その後に調査が終わった六件は掲載されなかった。東京消防庁広報課の鍬塚和也司令補は「指摘を受け、火災報告を総務省に上げなくなった」と語った。
総務省消防庁によると、現行のサイトの運用が始まる二〇一〇年、消費者庁と報告対象の製品を協議し、「メーター類」を除外。当時は普及していなかったスマートメーターも同様に扱ったという。
予防課の島村泰彰課長補佐は「送電線などの設備と同様、スマートメーターは電力会社が送配電事業を行うために設置し、所有権も電力会社にある。今後もデータベースには載らない」と説明した。
消費者庁消費者安全課の尾崎真美子課長は「消費者安全法上、火災は重大な生命・身体被害を発生させるおそれがある事案で、行政機関による報告は必要だ。報告すべきケースを幅広く周知していきたい」とコメントを出した。
ソース
東京新聞:スマートメーター火災 消防庁 報告不要と指示:社会(TOKYO Web)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201812/CK2018120602000148.html