検察の「組織の論理」からするとゴーン氏不起訴はあり得ない
郷原信郎 | 郷原総合コンプライアンス法律事務所 代表弁護士
12/2(日) 8:00
https://news.yahoo.co.jp/byline/goharanobuo/20181202-00106210/
逮捕容疑が、実際に受領した報酬ではなく「退任後の役員報酬の支払の合意を有価証券報告書に記載しなかった事実」であることは、ほぼ疑いの余地のないものとなった。
このような「退任後の報酬」について虚偽記載の犯罪が成立するのか、マスコミからも疑問視する見方が示されているが(【ゴーン氏事件 検察を見放し始めた読売、なおもしがみつく朝日】)、検察は、意に介さず勾留延長請求を行い、10日間の延長が認められた。12月10日の延長満期に向けて、検察が本当にゴーン氏を起訴するのかどうかに注目が集まる。
上記記事等でも述べたように、逮捕容疑からは、検察官が、本当にゴーン氏を起訴できるのか疑問だ。しかし、検察は、独自の判断で、国際的に活躍する経営者のゴーン氏をいきなり逮捕し、日本国内だけではなく国際社会にも重大な影響を与えたのであり、もし、ゴーン氏が不起訴となった場合は、国内外から激しい批判・非難を受け、検察幹部は重大な責任を問われることになる。「組織の論理」からは、検察が独自の判断で行ったゴーン氏逮捕を自ら否定するような不起訴の判断を行うことは考えにくい。
検察のゴーン氏処分に関しては、逮捕容疑の内容から「起訴は考えにくい」が、検察の「組織の論理」からは「不起訴は考えにくい」という2つの見方が交錯することになる。