クラフトビールがブームになって久しい。米国ではいまだ、一日一クラフトビール醸造所が誕生するペースだ。地ビールであるクラフトビールはその土地のシンボルにもなり、地域活性化にも一役買う。が、一つ問題を抱えていた。大量に捨てられる“麦芽”のカス、食料廃棄問題だ。そこに目をつけたニューヨーク発のスタートアップが、麦芽のカスを“スーパーフード”にアップサイクルすることに成功。そして、このクラフトビールのアップサイクルからはじまる〈理想の都市のありかた〉が見えてきた。
その食料廃棄物、スーパーフードなり
ビールを造るうえで欠かせない大麦麦芽(モルト)。しかし、お湯で浸して麦汁を作った後は、用済みとなり廃棄されてしまう。食料廃棄は、現代における深刻な問題の一つ。ただ、ひと言に「食料廃棄」といっても、まだ食べられるのに捨てられるものと、トウモロコシの芯やナッツの殻のような、食べられないと見なされて捨てられるものがある。麦芽のカスは後者だ。
お湯に浸ったあとの麦芽のカスは、どうやっても「人が好んで食べるものにはならない」といわれてきた。これまで麦芽のカスを再利用した前例には、堆肥や燃料、飼料などがあるが、「ライズ・プロダクツ(Rise Products)」のように、人が食べる食品として息を吹き込む試みは極めて珍しい。
食品にアップサイクルするのは難しいと言われていた一番の理由は「独特の臭い」。麦飯を炊いたときの、なんとも言えないあの食欲を削ぐ臭いに近いと思う。
ライズ・プロダクツの共同創始者ベルサ氏はこう話す。「私たちも最初は、肌の古い角質をとるスクラブや石鹸、紙や建築材にすることを考えました。しかし、麦芽のカスにはそうするには勿体ないほどの栄養価がある。この特徴を活かさない手はないです。そして、一度廃棄物となったものをアップサイクルする、これは付加価値を最大限に高めることに意味があると思います」。
彼女たちがアップサイクルに成功して生まれたのは、小麦粉に似た穀粉「スーパー・フラワー」。これは通常の小麦粉と比べて、プロテインは2倍、食物繊維は12倍。また、炭水化物は3分の1、グルテンの量もフリーとは呼べないものの、小麦の40分の1の低グルテン食品(50ppm)。まさにスーパーフードと呼ぶに相応しいスペックだ。
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HEAPS | Think Society
http://think-society.heapsmag.com/rise-products-upcycled-ingredients-circle-in-urban-city/index.html