自民党総裁には3年間という任期があり、それが切れるごとに総裁選が行われることは極めて民主的で自然な流れのはず。ですが、安倍首相の認識は少々異なっているようです。詳細は以下から。
「【自民党総裁選】覚悟問い圧勝目指す「現職に辞めろと迫るのと同じだ」 安倍晋三首相、党員票にも自信」という刺激的なタイトルの記事を掲載したのは他でもない産経新聞の阿比留瑠比政治部編集委員。11日の掲載以降じわじわと反響が広がっています。
◆斬新過ぎる「現職に辞めろと迫るのと同じ」
記事では総裁選に臨む安倍首相の動向を伝えており、冒頭で「首相は圧勝を目指す決意だ」とします。そして安倍首相が周囲に語った言葉として
> 「6年前は谷垣禎一総裁(当時)の出馬断念があったが、今回はよーいドンで新しく総裁を選ぶのとは違う。現職がいるのに総裁選に出るというのは、現職に辞めろと迫るのと同じだ」
という極めて斬新な認識を紹介しています。首長などのトップを選ぶ選挙では、現職が辞職や死去などによって不在となった場合を除いて多くが現職対挑戦者という構図になります。
自民党総裁にも3年の任期が設定されており、任期満了に伴って総裁選が行われる事に不自然なところはありませんし、現職以外の候補が挙手することも総裁選のシステムとしておかしなことはありません。
むしろこれまで制限されていた3選を可能としたのは安倍首相自身な訳ですから、3選を目指す今回の総裁選で対立候補が出現することは織り込み済みのはずです。
民主主義を採用している日本では当たり前の選挙の光景で、疑う余地もないかと思われましたが、安倍首相の認識では「現職がいるのに総裁選に出るというのは、現職に辞めろと迫るのと同じ」となるようです。
◆敗者への徹底した冷遇を示唆
そして記事では安倍首相が「現職の小渕恵三首相に加藤紘一元幹事長が挑んだ際との類似性を指摘」していることを取り上げます。
これは自民党総裁選の勝者が敗者を徹底的に冷遇した事例を指しており、対立候補となる石破氏に勝利した暁には支持者もろとも徹底的に冷遇することを示唆し、「忖度」を求めていることになります。
実際に前回の2015年自民党総裁選挙で、立候補しようとした野田聖子議員が一時は25名を集めた推薦人を安倍首相陣営に切り崩されて不出馬に追い込まれ、安倍首相が無投票再選となったことを覚えている人も多いのではないでしょうか。
◆対立候補は「敵」という認識
つまり、記事を参考に安倍首相の認識を総合すると「私が自分から辞める気になるまで私の地位を脅かそうとする奴は刃向かう敵と見なして徹底的に潰す」ということになります。
任期の途中で辞任を迫られたわけでもなく、身内である自民党内の任期満了に伴う選挙ですら対立候補を敵と見なすとなれば、もはや安倍首相にとっては選挙そのものが自分の地位を脅かす可能性を秘めた忌むべきものと考えていると言えそうです。
これではどう見ても独裁国家になってしまいますが、大丈夫でしょうか?
◆やはり「まとめサイト 産経速報」でした
なお、産経新聞は安倍首相のこの言動の理由について
> 首相にしてみれば、国政選挙で自民党を前例のない5連続勝利へと導き、各種経済指標も向上させてきたうえ、外交面でも成果を挙げている自分を、何のために代えようというのか-というところだろう。
と推測してみせます。それぞれの「成果」について本当にこう認識しているのであれば、やはり産経新聞は「まとめサイト