防衛省は21日、主に高卒者を対象とする自衛官候補生などの採用年齢を引き上げる方向で調整に入った。現行18~26歳までの採用年齢について上限を30歳程度とすることを視野に検討する。少子化や景気回復を背景に優秀な人材の確保が厳しさを増していることを踏まえた措置で、陸海空各自衛隊との調整が付けば、2019年度から実施する。
年齢引き上げは1990年4月に当時24歳だった上限を26歳にして以来、実現すれば約30年ぶり。採用年齢を定めた自衛隊法施行規則などを改正する。
防衛省が17年度に採用した自衛官1万4090人のうち、自衛官候補生と一般曹候補生が全体の約9割を占める。ただ、近年、応募者数は減少傾向にある。
特に自衛官候補生の採用数は12年度の9963人をピークに5年連続で減少しており、17年度は7513人にとどまった。同省関係者は「景気回復に伴い、優秀な人材は民間企業に流れている」と危機感を示す。
今回、年齢引き上げを検討するのは、自衛官候補生と一般曹候補生の2職種。自衛官候補生は任期制で、教育期間を含め陸上自衛隊が2年、海上・航空自衛隊が3年。任期終了後に継続するか否か選択できる。一般曹候補生は終身雇用が原則で、部隊勤務などを経て、自衛隊の中核を担う人材となることが期待されている。
同省は、高校などを卒業し、いったん民間企業や官公庁に就職した優秀な人材を獲得したい考えだ。担当者は年齢引き上げにより「自衛隊で再チャレンジができるよう門戸を広げたい」と語る。
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