立憲・国民、主導権争いが過熱=尾を引く民進分裂のしこり
野党の国会対応をめぐる立憲民主、国民民主両党の主導権争いが過熱している。
党の基本路線の違いに加え、旧民進党分裂の過程で生じた感情的なしこりが今も尾を引いているためだ。
来年夏の参院選に向けた候補者調整作業も進んでおらず、両者の関係は野党共闘全体に影を落としている。
「先だって枝野さんから電話をもらった。国会運営に異論があったのだと思うが、十分にこちらが話す前に切られた」。
国民の大塚耕平共同代表は28日の記者会見で、立憲の枝野幸男代表との22日の電話の様子を暴露し、不満をあらわにした。
22日は参院で自民、国民両党が会期延長後の国会正常化で合意した日。枝野氏は参院野党第1党の国民に苦情を伝えたとみられる。
これに対し枝野氏は29日の会見で「非公式に話したことを相手の了解なく話すべきではない」と応酬した。
立憲は昨年10月、小池百合子東京都知事が立ち上げた旧希望の党への合流を拒まれた民進のリベラル系議員らで旗揚げされた。
立憲内には「排除の論理」でつまはじきにされたことへの遺恨が残る。
背水の陣で臨んだ昨年の衆院選で安倍政権との対決姿勢を打ち出し、勢力を拡大したことへの自負ものぞく。
国会対応では対決路線を維持。支持率が1%程度と低迷する国民を「消えてなくなる運命だ」(立憲幹部)と突き放す。
一方、民進に残った参院議員らと旧希望で5月に発足した国民の方も、この過程で立憲側が民進参院議員を引き抜いたことへの不信感が消えていない。
国会では立憲との差別化を図ろうと「対決より解決」を掲げ、「働き方改革」関連法採決を容認。立憲の解任決議案提出に加わらなかった。
「偏った野党では政権に近づけない。ずっと野党でいる気ならどうぞ」。国民幹部は立憲をこう皮肉る。
こうした状況のため、来夏の参院選の結果を左右する改選数1の「1人区」の候補者調整は手つかずのままだ。
改選数2以上の「複数区」にはどちらも候補を立てる方針で、他の野党からは「参院選で両者の優劣がはっきりするまで争いは続くのではないか」と、長期化を懸念する声も漏れている。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2018063000362&g=pol