つい先日、「日本は世界第4位の移民受け入れ大国」というニュースが流れてきた。
これはOECDに加盟する35ヵ国の最新データだ。上から順にドイツ、アメリカ、イギリス。日本は韓国を抜いて第4位になった。
しかしこれはイギリスがEU脱退を表明する前の2015年のデータなので、ひょっとすると、すでに
日本はイギリスも抜いて、世界第3位の移民受け入れ国になっているかもしれない。
そんな状況にもかかわらず、日本にはこれまで公式の「移民」の定義すらなかった。
いわゆる「移民」のイメージは、「貧しい国から働きに来た人」かもしれないが、たとえば国連などの国際機関では、
個人の経済状況には関係なく「1年以上外国で暮らす人」を移民としている。
この定義に照らせば、イチローもYOSHIKIも移民だし、日本に一年以上住む外国人は全員移民である。
そしていま、日本には約247万人の在留外国人がいる。これはつまり、名古屋市民とほぼ同じ数の「移民」がいるということになる。
ちなみに、自民党の労働力確保の特命委員会による定義では、「移民=入国時に永住権を持っている者」であり、
「就労目的の者は移民ではない」としている。そもそも移民の定義からして国際社会の認識とは完全にズレている。
いま、日本では働き手が足りない。2017年度の有効求人倍率は1.54倍。個人的には景気のよさは
まったく実感できないが、44年ぶりの高水準なのだそうだ。現場では人が足りない。
今回、政府が外国人労働者受け入れに大きく舵をきった背景にあるのは、深刻な人手不足だ。
政府の発表によれば、建設分野だけでも2025年までに30万人以上の外国人労働者が必要と試算されている。
現在、日本では約128万人の外国人が働いているが、急増しているのは「技能実習生」(約27万人)と
「留学生」(約31万人)である。今回、政府が本腰を入れはじめたことで、実習生はますます増えていくだろう。
「技能実習生」の在留期間は、これまでは最長で5年だった。だが、10年まで認める新たな在留資格を創設するのだという。
しかし、本来、「外国人技能実習制度」は人手不足を補うためのものではない。外国人が日本の企業や農家などで
働いて習得した技術を"母国の経済発展に役立ててもらう"という目的で創設された制度である。
この技能実習制度は、低賃金、長時間拘束など、ブラックな環境で働かされることも多く、国際的には
「現代の奴隷売買」などと揶揄されることも多い。2017年には半年間で失踪者が3000人を越えた。
昨年末に法改正がなされたが、国際貢献をタテマエとしながら、実質的には現場の労働力不足を外国人で穴埋めしているにすぎないのだ。
韓国が国策として国語教育などもしながら単純労働者を正面から受け入れているのとは対照的に、
日本は国際貢献をタテマエとし、制度設計も十分整わないままにさらに外国人労働者を受け入れようとしている。
一部抜粋
全文は
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/56296