福島市が発注した生活圏の森林除染で業者が現場を「竹林」と偽って工事代金を不正受給していた問題で、市が関係者の刑事告発を断念していたことが19日、分かった。告発の証拠がそろわなかったことが理由という。市の調査で不正受給の総額は約4500万円に上ったが、元請けの共同企業体(JV)が既に全額返還している。
市によると、除染の偽装は2014(平成26)年9月~16年3月の間に同市松川町で行われ、市内の建設業3社でつくるJVから業務を請け負った2次、3次下請け業者が、本来は森林として認定すべきエリアを、工事単価が上乗せされる竹林に偽装した。市は問題発覚後、偽装に関わった業者の刑事告発を検討。警察や弁護士と協議を重ねてきたが、実際に偽装に関わった人物が特定できないことなど証拠がそろわずに断念した。
刑事告発を目指してきた市の担当者は「苦渋の決断」としている。一方で行政関係者の中からは「不正受給をしても行政処分で済むあしき前例となり、今後の業務委託に影響を及ぼす」との声も出ている。
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