参議院での審議も始まった「高度プロフェッショナル制」(高プロ)を含む、働き方改革一括法案。安倍晋三首相は6月4日の参院本会議で、「時間ではなく、成果で評価される働き方を選択できるようにする『高度プロフェッショナル制度』の導入は、我が国にとって待ったなしの課題であります」と説明した。
一方で、労働弁護士の多くは、高プロには成果に応じた給料が支払われることを保障した規定はないと指摘して いる。
労働問題に取り組む増田崇弁護士は、現行法でも成果型賃金を導入している企業はたくさんあるとして、「高プロの本質は残業代の削減」と強調する。
「残業代が支払われる否かと、成果に応じた納得できる給料が支払われるかどうかはまったく別の問題です。高プロの導入によって成果型の賃金体系になることはありません」
●タクシー業界などでは、現行法下でも完全歩合給が採用されている
ーー現行法でも成果型賃金はできるといいますが、具体的にどのような賃金となっているのでしょうか?
タクシー業界では、大概の会社で売 上の約半額が運転手の給料になっています。売上が少ないときのため、労働基準法上、一応最低保障 (同法27条)はありますが、最低賃金とあまり変わらない水準であることがほとんどです。
中には、最低保障を下回る歩合給しか稼げない労働者もいると思いますが、最低賃金レベルでいいなら、昼夜逆転の20時間連続勤務など過酷なタクシードライバーではなく、もっとほかの職もあります。稼げない労働者は自ら辞めてしまいますし、退職するよう会社から肩たたきもあるでしょう。そのため、タクシー運転手のほとんどは事実上完全歩合制で働いているのが実態です。
同様に事実上完全歩合給の仕事は、保険や不動産の営業など現行法下でも珍しくありません。
(以下、見出しとQのみ)
●「成果型」が定着しなかったのは、評価が困難だから
ーー高プロの対象になるとされる、証券ディーラーやアナリストらは、タクシーや保険営業などと違って、単純な「達成数」では評価できないように思いますが?
ーー それが広がっていないのは、どうしてでしょうか?
●ずっとできなかったのに、高プロで「適切な評価」ができるようになるの?
ーー確かに年功序列から成果主義という話はずいぶん昔から言われていましたね
●高プロはむしろ、「成果による評価」を放棄する制度?
ーーでも、現実的に社内でも「できる人」と「できない人」の差は明確にあると思います
ーーだとしたら、なぜ政府は「高プロ=成果給」という説明にこだわるのでしょう?
ソース
「高プロ=成果で評価」のウソ 「成果給は今でも可能」「評価の工夫を放棄するだけ」 - 弁護士ドットコム
https://www.bengo4.com/c_5/n_8017/