アップルが、日本時間6月5日未明に発表したmacOS 10.14 Mojaveのリリースノートにおいて、OpenGL/GL ES、OpenCL、OpenGL ESを非推奨としました。アップルは今後、これらのAPIに代わって2014年に発表した独自の3DグラフィックスAPI、MetalおよびMetal Performance Shadersの利用を推奨しています。
OpenGL/GL ESはオープンソースの3DCGライブラリーとして、またOpenCLはCPUだけでなくGPUやDSPと異なる計算資源を活用するためのマルチコンピューティング用APIとして広く利用されています。たとえばAbobeの各種ツール類やMetal登場以前のMac版3Dゲームなどは多くがOpenGLを使用していました。
なお、macOS 10.14 MojaveにおけるOpen GL /GL ESとOpenCLの扱いは、あくまで非推奨になったというだけで、Mojaveにアップデートしたら即、動作しなくなるというわけではありません。
ただ、アップルの意図としては、より低レベルなGPUアクセスが可能なMetalフレームワークへの移行を進めたいことは明らかであり、何年かのクッション期間の後にOpen GL /GL ES、Open CLのサポートを終了する流れになることは間違いなさそうです。
クロスプラットフォームでアプリケーションを開発するプログラマーにとっては、macOSでのOpenGLのサポート終了は頭の痛いところかもしれません。というのも、これまではOpenGLで作っていればほぼWindows、Linux、Macで動作させられていたのが、今後MacだけはMetalで書き直さなければならなくなるから。
Metal登場以前のMac向けゲームや3DアプリケーションはほとんどOpenGLを使っていたはずです。開発する側の考えようによっては、たとえばゲームの市場としては小さいMacへの対応を諦めるメーカーも、もしかすると出てくるかもしれません。
一方で、Metalの利点を積極的に活用しているゲームメーカーもないわけではありません。Valveの「Dota 2」やFeral Interactiveの「Rise of the Tomb Raider」、Epic Gamsの「Fortnite」、Telltaleの「Minecraft: Story Mode S2」といったゲームはすでにMetalを利用して開発されているとのことです。
ちなみに、やはりWWDC 2018で発表されたiOS 12でも、Open GL /GL ES、OpenCLは非推奨になりました。
ソース
アップルがmacOS 10.14 MojaveでOpenGL /GL ES、OpenCLを非推奨化。Metalへの移行推奨 - Engadget 日本版
https://japanese.engadget.com/2018/06/05/macos-10-14-mojave-opengl-gl-es-opencl-metal/