<米大使館移転>死者60人に ナクバ迎え、混乱拡大懸念
5/15(火) 21:38配信
【エルサレム賀有勇、ガザ市(パレスチナ自治区ガザ地区)高橋宗男、ニューヨーク國枝すみれ】在イスラエル米国大使館のエルサレム移転に抗議するデモ隊とイスラエル軍の激しい衝突から一夜明けた15日、パレスチナは、イスラエル建国によって70万人が難民として故郷を追われた「ナクバ(大惨事)」を思い起こす日を迎えた。パレスチナ自治区ガザでは抗議デモが予定され、混乱の拡大が懸念されている。アラブ諸国の意向を踏まえたクウェートの要請で、国連安全保障理事会は15日朝(日本時間同日夜)に緊急会合を開く。
ガザの保健当局によると、14日にガザ地区で発生した衝突の死者は60人に達した。催涙ガスの吸引により死亡した生後8カ月の女児も含まれる。
パレスチナ自治政府のアッバス議長は14日夜、イスラエル軍の対応を「虐殺」と強く批判。15日から3日間を犠牲者の服喪期間とすると発表した。ヨルダン川西岸地区でも15日、抗議のゼネストが実施され、ナクバから70年を記念し、サイレンが70秒間鳴らされた。
アッバス氏は、激しい衝突につながった14日の米大使館移転について、「東エルサレムにおける米国の入植地だ」と非難。パレスチナが将来の独立国家の首都と想定する東エルサレムでも、ユダヤ人入植地の建設が進んでおり、タクシー運転手、イスマイル・タミーミさん(30)は「パレスチナ人の土地は今後もますます侵食されるだろう」と嘆いた。
国連安保理の緊急会合では、理事国の多くが、イスラエル軍がデモ隊に実弾を発砲したことに懸念を示し、武力行使の停止を求めるとみられる。親イスラエル寄りの姿勢を鮮明に、大使館移転に踏み切った米国は孤立する可能性が高い。
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