行楽シーズンたけなわ。列車の旅のお供といえば駅弁だが、弁当を包む「掛紙(かけがみ)」に興味深い“歴史”があるのをご存じ? 現代のように情報網が発達していなかった時代には、メディアとしての役割を担い、描かれた図案やフレーズからは、その時々の世相が浮かび上がる。福井市の県立歴史博物館が所蔵する明治から昭和期までのコレクションをたどりながら、旅の気分を味わおう。
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同館は、明治30年代前半からの全国の駅弁の掛紙5千枚超を所蔵。その数は全国にも誇れるという。最も古いのは宇都宮駅で販売されたもので、シンプルに駅や弁当名だけを短冊形の図案に記してある。
ご当地らしさを確認できるのは、明治36(1903)年以降。同年、鉄道当局が「停車場構内物品販売営業人従業心得」を規定。販売業者に駅周辺の名所や案内を客に伝えるよう促し、「鮮明に印刷すべし」とした。
「国が掛紙をメディアとして利用し始めた。デザインや言葉選びなどを含めて、製作に国の許可が必要になった」と、鉄道文化史に詳しい福井市の水村伸行さん(54)は指摘する。この規定が、バラエティー豊かな図案が登場するきっかけにもなった。(続く)
画像:敦賀市の名所が描かれている駅弁掛紙(福井県立歴史博物館蔵)
画像:福井市の名所が描かれている駅弁掛紙(福井県立歴史博物館蔵)
画像と「忘れられた駅弁も」以降の記事はソース
http://www.fukuishimbun.co.jp/articles/-/329230