退去強制令が出された外国人らを拘束する東日本入国管理センター(茨城県牛久市)で、収容者が長期拘束などに抗議するハンガーストライキを十五日から実施していることが関係者への取材で分かった。センターでは十三日、長期拘束を悲観したとみられる難民申請中の三十代インド人男性が自殺したばかりだった。
収容者から事情を聴いた支援者によると、複数の棟の四十人以上が参加しているという。
センターもハンスト発生を認め「健康を害する恐れがあり、中止するよう説得している」と説明した。参加者数は明言を避けた。
センターによると、収容者は現在三百三十五人。仮放免が認められないケースが相次ぎ、難民申請者をはじめ収容が数年間にわたる人も増えている。
収容者への面会を続けている複数の支援者によると、インド人男性は十二日、仮放免申請が不許可となり、絶望していたという。十三日午前に首にタオルを巻き自殺した。
収容者の間に「職員には花を手向けるなど男性を追悼する様子がない」と憤りが広がりハンストのきっかけになった。男性と親しかった収容者を中心に長期拘束への抗議の意味も含め十五日朝から給食を拒否、周囲に広がった。水やお茶は口にしているという。
センターは花束を供える準備をしているが時間がかかるという。日本の入管施設の長期収容には国連の拷問禁止委員会なども懸念を表明。入管事情に詳しい横浜市の山村淳平医師は「長期収容は精神の拷問で、期限を設ける必要がある」と指摘。「ハンストは、精神的に追い詰められている証しだ」と話す。
<入国管理局と収容> 在留資格がなく、退去強制令書が出された外国人は東京、大阪などの地方入国管理局や東日本入国管理センター(茨城県牛久市)、大村入国管理センター(長崎県大村市)など全国17カ所(一部閉鎖中)の収容施設に拘束される。難民申請者も多い。収容期間に法的制限はなく、長期化傾向にある。法務省は「在留資格がないまま日本で活動するのを防ぐ意味がある」と正当化するが、難民支援の弁護士らは「拘束は退去に当たり飛行機を待つわずかな期間だけ認めるのが法の趣旨だ」として法務省を批判している。
ソース
東京新聞:入管収容者が集団ハンスト 東日本センター 長期の拘束抗議:社会(TOKYO Web)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201804/CK2018041702000255.html