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国民負担率。国税と地方税の「税負担」や、年金掛け金・健康保険料といった「社会保障負担」が国民所得の何%を占めるかというデータである。
「国民負担率18年度42.5% 2年連続減、所得増映す」
2月24日付の日本経済新聞はこう報じていた。「負担率が前年度を下回るのは2年連続。景況感の回復で所得が増え、負担率を押し下げた」としている。
この記事は2月23日に財務省が発表した「2018年度(平成30年度)の国民負担率」を基に書かれた、いわゆる発表記事だ。財務省内にある記者クラブに詰めている若手記者が、財務官僚の説明をそのまま記事にしたのだろう。1年前に自分たちの新聞がどんな記事を書いたかチェックしなかったのだろうか。
「17年度の国民負担率、横ばい42.5%」
これが日本経済新聞の2017年2月10日付(電子版)の記事だ。つまり2016年度も2017年度も42.5%だとしていたのだ。「横ばい」と書いていたはずなのに、なぜそれが「2年連続減」になるのか。
実は、この発表データは記者クラブの記者たちが何度も“だまされ”てきた、いわく付きの発表なのだ。
国民負担率を小さく見せようという「意図」
今年発表された年度推移のデータ一覧表を見ると、2016年度は42.8%、2017年度は42.7%、そして2018年度は42.5%となっている。この表をベースに記者は「2年連続減」と書いているのだが、ここに「罠」が仕掛けられている。
欄外に細かい文字でこう書かれている(年号を西暦に修正)。
「2016年度までは実績、2017年度は実績見込み、2018年度は見通しである」
2017年度も2018年度も確定的な数字ではない、と言っているわけだ。その財務省の「推計」を基に記事を書くので、辻褄が合わなくなっている。つまり、毎年「見通し」がおかしいのだ。
実績として確定した2016年度の国民負担率は6年連続で過去最高を更新した。2010年度は37.2%だったので、6年で5.6ポイントも上昇した。この国民負担率にそれぞれその年度の国民所得をかけて計算すると、何と33兆円も負担は増えているのだ。
ではかつて、日本経済新聞は2016年度の「見通し」をどう記事にしていたか。 「16年度の国民負担率、7年ぶり低下」である。財務省は、負担は軽くなるというデータを毎年のように示しながら、「実績」となると過去最高を続けているわけだ。記者はまんまと財務省の「印象操作」にはまっているのである。これは日本経済新聞だけの問題ではなく、朝日新聞ほかの大手メディアは概ね「引っかかって」いる。
全文はソースで
さすが財務省!官製誤報はこうして繰り返される:日経ビジネスオンライン
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/238117/030100071/