――しかしチベット人を取り巻く環境は年々厳しさを増している。
国際社会における中国の発言力も増し、先日は、ダライ・ラマ法王の言葉を広告に引用した
自動車メーカーのメルセデス・ベンツが謝罪に追い込まれた。
確かに中国は強大化している。私は最近、南アフリカを訪問したが、その際には現地中国大使館が抗議デモを組織するなど
締め付けを強めている。
各国の政府、企業が中国政府の報復を恐れる状況は理解できる。
ただ、チベット問題で譲歩すれば最後は皆さんにも跳ね返ってくることは理解していただきたい。
チベット問題、天安門事件、そして新疆と中国には多くの人権問題がある。
それらについて口をつぐみ続ければ、そのうち自国に関する問題でも譲歩を余儀なくされる。
このリスクに気がついた国もある。
一時期、中国と蜜月を築いたオーストラリアは現在、一転して中国のロビー活動が国内政治に影響しないよう防止する法案を提出している。
中国がどのような国なのか、それを知りたければチベットの経験を知る必要がある。
チベットの悲劇を知らなければ中国の全貌はつかめない。