ワシントン(CNN) 米国防総省は2日、新たな核戦略の指針となる「核態勢の見直し(NPR)」を発表した。主にロシアに対する核抑止力を刷新するため、数十億ドルを投じることが主眼。ロシアが大陸間を進む核魚雷を開発中だとの認識も初めて公式に示した。
報告書は、「ロシアは米国と北大西洋条約機構(NATO)を自国の地政学的な野心に対する主要な脅威とみなしている」と指摘。米国防情報局(DIA)の現在の推計として、ロシアが短距離弾道ミサイルや、中距離爆撃機に搭載可能な無誘導爆弾、爆雷など2000発の「非戦略」核兵器を保有していると指摘した。
報告書はまた、ロシアが新たに大陸間の海中を進む核武装した原子力推進の魚雷を開発中との認識を示した。この計画は「ステータス6」として知られ、米当局者によると、水中発射のドローンタイプの装置で、数千マイルを進み米国沿岸の軍基地や都市を狙う可能性があるという。爆発後は広範な地域で核汚染が発生するように設計されている。
トランプ氏は2日、声明でNPRの結論の重要性を強調。「核兵器の役割や数を縮小しようとする米国の取り組みにもかかわらず、過去10年の間に他の核保有国は兵器数を増やし、安全保障戦略における核兵器の役割を拡大して、一部のケースでは他国を脅かす新たな核能力を開発してきた」と述べた。
今回の米国の戦略については、核兵器使用の可能性を少なくするのが狙いだと主張。米国や同盟国などへの「戦略攻撃」に対して抑止力を高めることにつながると強調した。「戦略攻撃」の内容に関しては、「核兵器の形を取らない可能性もある」としている。
NPRはまた、米国が確かな抑止力を備えているとロシアに印象づけるため、「低出力」の核兵器を重視するよう要求。潜水艦発射弾道ミサイルに搭載された既存の弾頭を改良を求めた。5000万ドル(約55億円)規模の5年計画になるという。
ただ、各潜水艦に搭載する主力ミサイルはより射程の長い戦略核ミサイルのままで、新たなミサイルは数発程度の搭載が見込まれているという。
シャナハン国防副長官は、今回の指針は新たな核弾頭の開発を要求するものではなく、また核の保有数を増加させるものでもないため、条約違反にはあたらないとの見解を示している。
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