1987年5月の朝日新聞阪神支局(兵庫県西宮市)襲撃事件で重傷を負った元朝日新聞記者の犬飼兵衛(いぬかい・ひょうえ)さんが16日、急性心臓死の疑いで香川県内の病院で死去した。73歳だった。葬儀は近親者のみで営んだ。
事件は憲法記念日の5月3日夜に発生。目出し帽の男が阪神支局に侵入して散弾銃を発砲し、小尻知博(こじりともひろ)記者(当時29)が殺害された。支局にいた犬飼さんは2、3メートルの距離から200個以上の散弾粒を浴び、右手の小指と薬指を失った。
事件後、「赤報隊」名の犯行声明文が送りつけられたが、東京本社銃撃や静岡支局爆破未遂など一連の朝日新聞襲撃事件(警察庁広域重要指定116号)の全てが未解決のまま03年3月までに公訴時効となった。
犬飼さんは阪神支局事件の1年後に兵庫・淡路島の洲本支局長として取材活動に復帰。姫路支局長などを経て、長野県の諏訪支局を最後に07年に退職した。
阪神支局事件の時効を前にした記者会見で、犯人に対して「人間ならば言葉で訴えなさい。なぜ阪神支局を襲ったのか、その口から直接聞きたい」と語っていた。
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