白鴎大学法学部教授兼大学院法学研究科長の石村耕治氏は、
「宗教法人のみならず、現在の税制は企業を含めた法人税全体をどんどん下げ、反対に個人からの徴税を強めています。国民の働くモチベーションは下がる一方で、まずはこうした課税のアンバランスを改めるのが第一だと思います」
そう指摘しながら、
「私の知る限り、9割の宗教団体は経済的に厳しい状況に置かれている。その一方、一部の大きな宗教法人が優遇措置を利用して勢いを拡大しています。それはトップの『経営手腕』によるところも大きいのでしょうが、問題は彼らがどれほど寄付を集めているのか、全く不透明なままなことです」
(中略)
巨大宗教でまず思い浮かぶのは、総資産およそ10兆円といわれる創価学会である。その施設は全国に約1300カ所。金融資産や不動産、美術工芸品などを合わせると、前述の通り総資産は桁違いの額に達する。
(中略)
「収益事業で得た利益の20%までは、本業の公益部門に寄付する形で控除することもできるのだから、宗教法人にとって日本ほどの天国はありません」
とは、ジャーナリストの山田直樹氏だ。
「かつて私が税理士らと行なった試算では、すべての団体に法人税や固定資産税など通常の課税をした場合、およそ4兆円の税収が見込めるとの結果が出ました」
「こうした議論があるにも拘らず状況が変わらないのは、宗教団体が政治家の票田になっているからです。まず、公明党が与党であるため議論が全く進んでいない。また先の総選挙では、立正佼成会が民進党だけでなく希望や自民の候補者も支援するなど、創価学会以外の影響力も無視できません。与党公明党によって宗教界全体が守られていることを考えると、他の教団も『学会さまさま』といった思いでいることでしょう」
https://www.dailyshincho.jp/article/2018/01150800/