森友学園の幼稚園が、不正に補助金を得ていたとして8月に「詐欺罪」で逮捕された理事長夫妻は、今も大阪拘置所の中にいる。
いまだ公判は始まらず、実の子供との面会も許されぬままに…。森友問題を最も深く取材してきた菅野完(すがの・たもつ)氏が、この異常さを解説する。
(略)
■冷暖房のない部屋と窓のない部屋で
昭恵夫人が能天気にもFBに公開したパーティーの写真をみながら、私はどうしても森友学園前理事長籠池泰典氏とその妻・諄子氏の身の上を考えずにいられませんでした。
あの夫妻が大阪地検特捜部に逮捕されてからそろそろ4ヵ月。この間、籠池夫妻が置かれた環境は過酷という言葉さえ生ぬるい極めて劣悪なものです。
夫妻が勾留されている大阪拘置所には、新館と旧館のふたつの建物があります。このうち妻の諄子氏がいるのは旧館で、その名の通り古い建物。むき出しのコンクリートの壁に小さな窓が一つ付いているだけで冷暖房さえない環境です。8月の勾留開始直後の灼熱(しゃくねつ)の夏も、この冬の凍(い)てつく寒さも彼女はこの小部屋で耐え忍び続けています。
一方、籠池前理事長が勾留されている新館は建物が新しく冷暖房完備とはいうものの、窓が一切ありません。昼夜の区別がつくのは天井に張り付いた蛍光灯のオンオフだけという環境。全く別の事件で大阪拘置所新館に勾留された経験のある人物に話を聞いたことがありますが、「季節の変化も当然わからん。蛍光灯だけが頼りやけども、それさえ看守が操作してるわけで信用ならん。あらゆる時間の感覚が止まる。一瞬が永遠に感じられる」と言います。
さらに信じられないことに、この5ヵ月間、あの夫妻には接見禁止措置が施行され続けており、弁護士以外、実の子供たちでさえ面会できない状態が続いているのです。もうここまでいけば人権蹂躙(じゅうりん)と言っても過言ではないでしょう。
とはいうものの、あのふたりの逮捕容疑は詐欺。詐欺は重罪です。しかもふたりとも黙秘を続けていますから、勾留期間が長期化することも当然とはいえるかもしれません。
しかしこうして「確かに酷いけども、長期勾留もやむなしだよなぁ」と考えてしまうことがなによりも怖いのです。
籠池夫妻の事例だけでなく「起訴事実を否認する被疑者の勾留が長期化する」という事例は数多く存在します。そうしたことを根拠に「夫妻の勾留長期化やむなし」と考えてしまいがちなのですが、「否認あるいは黙秘するから勾留を長期化させる」なんて慣行があるのは先進国でおそらく日本だけ。とうてい「当然だ」だの「やむなしだ」などと言えるような措置ではありません。
国連拷問禁止委員会をはじめとするさまざまな国際機関から日本の司法制度が「人質司法」と繰り返し批判されているのはこのためです。籠池夫妻は諸外国から「中世レベル」とまで揶揄(やゆ)される日本の司法制度の闇に陥ってしまったのです。
逮捕の直前、籠池夫妻は冒頭で紹介した写真に写る昭恵さんの顔を指さしながら「恨んでるかって? とんでもない。この写真の頃もその後も、昭恵さんは親身に親切にしてくれた。今も感謝してるねんで。ほんまに」と私に語ってくれました。
籠池夫妻は拘置所でどんな年末を迎えるのでしょうか。昭恵さんはまた大晦日に盛大なパーティーでもやるのでしょうか。
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森友学園・籠池夫妻が勾留5ヵ月…「年越しも拘置所」は異常すぎる! - 政治・経済 - ニュース|週プレNEWS[週刊プレイボーイのニュースサイト]
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