コンピューターで全漢字使用可に 6万字コード化
日本語の漢字は、戸籍などに使われているものも含めると6万字あるのに対し、コンピューターは、実は1万字しか
扱うことができません。これに対し、このほど15年越しの作業の末、6万字すべてが統一の規格にまとめられて、
コンピューターがすべての漢字を扱えるようになり、ビッグデータの活用をはじめさまざまな効果が期待されています。
コンピューターで文字を扱うには、1つ1つの文字に、「コード」と呼ばれる世界共通の番号を割りふる必要がありますが、
日本語の漢字で、コードが割りふられているのは1万字だけで、コードが無く、コンピューターが扱えない「外字」は、
戸籍で使われているものをはじめおよそ5万字に上っています。
中には、メーカーなどが独自に対応した外字もありますが、コードが無いために、メーカーごとの互換性が無く、
データを受け渡してもコンピューターが認識できずに「文字化け」してしまったり、ある人の名前に本名の外字を
充てたものと略字を充てたものの2つのデータがあった場合、コンピューター上では、別の人と認識されてしまったり
するなどの問題が起きていました。
このためIPA=情報処理推進機構は平成14年から、経済産業省とともに外字を含めたおよそ6万字の漢字1つ1つに、
コードを割りつける作業を進めた結果、このほど15年越しでようやく完了し、国際規格として登録されました。
この結果「日本語の壁」の1つが取り払われ、外字が使われた名前を正確に表示できたり、地名を含むビッグデータを
正確に分析できたりするなどの効果が期待されています。
IPAの田代秀一参与は「日本人にとって、名前は大事なアイデンティティーで、戸籍では尊重されているがコンピューターが
追いついていなかった。文字を正確に扱えるようにすることは、今後ますます重要になる」と話しています。
■漢字とコンピューターのこれまで
戸籍で使われている文字のうち例えば「渡辺」の「ベ」は「辺」「邊」「邉」など11種類、「斉藤」や「斎藤」の「サイ」は
「斉」「斎」「齊」「齋」などおよそ60種類ありますが、このうちコンピューターが扱えるのは「べ」は3文字、「サイ」は
15文字ほどです。
また「吉田」の「ヨシ」のつくりが「土」になっている漢字も外字です。日本で初めて漢字のコードが作られたのは
昭和53年のことで、当時はコンピューターの能力が低く大量のデータを扱えないことなどから登録された漢字は、
およそ6000字でした。
その後、昭和54年に世界初の日本語ワープロが発売されるなど家庭や企業でパソコンが普及して、さまざまな
漢字を扱う必要が出てきましたが、コードの整備は進まず、コードのない漢字は、それぞれのメーカーがばらばらに
作っていました。
現在は、およそ1万字の漢字にコードが付いていますが、いまだに特定のソフトでなければ表示できない漢字もあり、
対応が急がれていました。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20171224/k10011270111000.html