LINEで妊婦に座席を譲る実験 実施前ながら疑問や懸念が噴出
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大日本印刷、東京地下鉄、LINEは11月6日、東京メトロ銀座線の最後尾車両内において、席に座りたい妊婦と席を譲りたい周囲の乗客をマッチングする構想「&HAND」の実証実験を12月11~15日に行うと発表した。これを受け、ネットでは懸念の声が上がっている。
「&HAND」構想は、LINEを活用して身体・精神的な不安や困難を抱えた人と、手助けをしたい人をマッチングし、具体的な行動を後押ししていく試み。その一環として今回行われるのは、スマホに夢中で妊婦の存在に気づかない乗客に対してメッセージを送信し、立っているのがつらい妊婦と、席をゆずりたい乗客をマッチングするというもの。
実証実験の内容は、サポーター(実験の趣旨に賛同する乗客)が実験車両に乗車した後、妊婦が「座席に座りたい」というメッセージを「&HAND」のLINEアカウント宛に送信すると、周囲のサポーターにそのメッセージが届く。サポーターがそれに返信することで、妊婦に座席位置などを伝えられる仕組みだ。実験を通して、乗客の行動変容や今後のサービス開発に向けた課題などを調査するという。
Twitterでは、
“こうまでしないといけないのか、と思う反面、今のやり方を試行錯誤していくことで前進することへの期待も感じる。”
“いい取り組みなんだけど、日本って気遣い出来なくなってる?って疑問点も。妊娠初期や人によってはお腹が目立たないから必要なのかな?”
と日本の現状を嘆く声が上がっているほか、
“譲りたい人の位置情報を伝えるって…妊婦さんに混んでる電車内を移動しろと?”
“対象車両が最後尾か…最後尾って改札からの階段から遠い駅と逆に目の前のところあるから実験としては少し不適当な感じ妊婦をわざわざ遠くまで歩かせるのかって話”
と妊婦に移動を強いることへの疑問も浮上しているようだ。また、
“すごくいいシステム。ただ、こういうのって妊婦じゃない女性がこのシステムを悪用して、結局また女性の敵は女性状態になるんだろうな。”
“マッチングされていざ席を譲ろうとしてたら、目の前に妊婦じゃなくて悪用したおっさん登場したらケンカになりそう”
と悪用も懸念する声も寄せられている。
将来的には、駅構内外での別の“お困りごと”を持つ生活者の課題解決に向けても活動を展開していくことを見据える「&HAND」。しかしながら、実験とはいえ実施前に疑問や懸念を抱えるユーザーがいるだけに、ルールの明確化など環境を整えたうえで、今後どれだけ支持を得られるかが普及の鍵を握りそうだ。
(山中一生)