急性白血病の治療を受けていた女児が輸血を受けてから約一カ月後に死亡していたことが分かった。輸血に用いられた血液製剤に混入していた大腸菌に感染したとみられる。日赤が二十九日、厚生労働省の有識者会議で報告した。
厚労省によると、輸血に使われたのは血小板濃厚液という血液製剤で、二十ミリリットル投与された。保存されていた製剤から、女児の血液から検出された大腸菌と同じ菌が検出された。二〇〇七~一六年の十年間で血小板濃厚液での細菌感染は十例報告されているが、死亡例はなかった。過去二十年間、大腸菌に感染したケースも他に一例しかないという。
日赤は、同じ献血者の血液から製造した血液製剤を医療機関に出さない措置を取り、感染拡大を防いだとしている。また「問診を徹底し、細菌感染の可能性がある人から採血しない」「凝固物などが発生し、外観が変化している製剤は輸血しない」などの対策をまとめるとともに、医療関係者に「感染症が広がるリスクは完全には排除できない。症状があらわれた場合は投与を中止し、適切な処置を行うこと」とリスクの周知に努めている。
女児は十歳未満。問題の輸血を受ける約一カ月前に骨髄移植を受けていた。八月に血小板濃厚液を輸血されると、悪寒などの症状が表れたため、いったん輸血を中断。再開後も吐くなどの症状が見られたため、輸血を中止した。数日後にはショック状態となり、約一カ月後に敗血症性ショックによる多臓器不全で亡くなった。血小板濃厚液は、血液成分から白血球の大部分を除去した製剤で、黄色ないし黄褐色の液体。血小板減少を伴う疾患の治療に使われる。
ソース
東京新聞:輸血に大腸菌か 女児死亡 投与血液製剤から検出:社会(TOKYO Web)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201711/CK2017113002000131.html