大阪府寝屋川市は今月、市内のため池で、市民有志や大学生らと一緒に北米原産の巨大肉食魚「アリゲーターガー」を捕獲した。在来種を捕食するなどして生態系に悪影響を及ぼす懸念があることから、約100人態勢で取り掛かり、民放テレビ番組の協力も得て大掛かりな作業を実施した。同市内には20カ所のため池があり、今回の捕獲活動を機に市は「池の環境保全をさらに進めていきたい」としている。
今回捕獲したのは、体長113センチのアリゲーターガーのほか、ガーの一種で体長約70センチのロングノーズガー。アリゲーターガーは、名前の由来になったワニのような長く大きな口と鋭い歯が特徴で、これまで琵琶湖や多摩川、今年5月には名古屋城の外堀で見つかるなど各地で目撃例がある。
来年、環境省が特定外来生物に指定することが決まっており、今後は輸入や飼育が規制される。
■4日がかりで
同市の太秦2号公園内の山新池(約4800平方メートル)では、アオサギ、コサギ、カワセミなどの野鳥が生息する一方、外来種で本来は池に生息しているはずがないアリゲーターガーが、以前から目撃されていたという。
今年9月、市民団体や大学でつくるグループの約30人が、地引き網で捕獲を試みたものの姿を見せず、失敗に終わっていた。
今回の作業は1~4日までの4日間で実施。10トンバキューム車や排水ポンプを使って池の水を抜きながら、水面にびっしりと広がっていた外来スイレンの除去から作業を開始した。
水位が下がってきた3日目には、追い込み作戦や地引き網での捕獲を試みたものの空振り。ようやく最終日にボートの上から網でアリゲーターガーとロングノーズガーを、捕らえることに成功した。
■在来種に影響
捕獲にも参加した、摂南大理工学部の石田裕子准教授(河川生態学)は「ガーは大きくなって飼い切れなくなり、川や池へ捨てるというのが多くのパターンで淀川や寝屋川でも目撃されている。今後は法律で購入、飼育が禁止されることも啓発していく必要がある」と話す。
市によると、今回はほかに、池の表面を覆っていたスイレン約5トンをはじめ、ウシガエル、キバラガメなどの外来種も除去したという。
特にスイレンは繁殖力が強く、隙間なく水面を覆うことで、水中が酸欠状態になり、在来種への影響が懸念される。環境省の「生態系被害防止外来種リスト」にも掲載されている。
http://www.nnn.co.jp/dainichi/news/171119/20171119027.html
山新池で捕穫に成功したアリゲーターガー(寝屋川市提供)
http://www.nnn.co.jp/dainichi/news/171119/images/IP171118TAN000001000_02.jpg
池を覆い尽くす外来種のスイレン(寝屋川市提供)
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