金賢姫たちはマルボロのタバコの1本に、毒薬入りのアンプルを仕込んでいた。
フィルター部分にはタバコの葉を糊で貼り付けてあり、箱を開ければ、どれに毒薬が仕込まれているか分かるようになっていた。
空港の係員に留め置かれている間に、金勝一はこう言ったという。
「まず私が噛む。私が死ぬのを見てから、あなたも噛みなさい」
そのとき、空港の女性警察官がやってきた。
「あなたのバッグを渡しなさい」
「はい」金賢姫はタバコの箱を取り出して、バッグを渡した。
「そのタバコも渡しなさい」
隣で、金勝一が小さく首を振った。
それを見た金賢姫は咄嗟に、目印をつけたアンプル入りのタバコを口に押し込んで、思い切り噛んだ。そのまま意識が飛んだ。