そもそも、放射能の被害は被曝の量、被曝と健康被害の因果関係の特定、という2つにおいて極めて判断が難しい。そのため、上述した「原発労働」の被曝の訴訟においては、被害を認定する際の「一定の基準」が裁判の中で積み上げられてきた。一定以上の被曝があった場合、その健康被害(癌など)を「労働災害」として一律に認定するという方法だ。そのような基準は科学的な特定が難しいために、「世論」の影響を強く受ける。
今回についても、東電の情報公開と世論が鍵を握っている。米兵の被害者たちも、米国の陪審員制度に対する期待があるという。もちろん、米国内の判断は米国内の世論によるところになるが、当事国として、私たちも彼らの「被害」に向き合うことが求められているのではないだろうか。
終わり