現在、東京電力を提訴している原告は402人。空母ロナルド・レーガンの航海日誌を検証すると、水蒸気爆発後の放射性プルームに突入していることがわかる。爆発後、私たちの方に風は向かわず、北東に放射性物質は流されていた。そこに、正確な情報を知らされない同空母が突入してしまったのである。
被害は凄惨だ。腫瘍により足を切断した者や、異常出血で子宮を摘出してしまった者、毛髪が抜け、下痢、頻尿、倦怠感などの健康障害で日常生活をまともに送ることもできなくなってしまった多くの被害者がいる。すでに亡くなった原告もいる。カメラはそうした当事者たちの生々しい声を届けている。彼らは、小さな子供を抱え、つい先日まで健康だった若者たちである。
だが、米政府は空母乗組員の放射線被曝を認めていない上、軍関係者は従軍中の事柄について政府を訴えることはできない制度になっている。そこで東京電力に対する訴訟が起こされているのだが、ここでも争う姿勢が示されている。未だに彼らは補償を受けることなく、健康被害と闘い、命を落としていっている。震災被害者の救援に参加した米兵に対して、あまりにも酷薄な現実であろう。