190万人都市、札幌市ではもう、他人ごとではありません。
この秋、北海道各地でクマの目撃件数が急増しています。個体数が増えている可能性もありますが、目撃件数が増加する理由は、クマが市街地に近づいているためでした。
確実に縮まるクマと人間の距離。背景を探ると、市街地に近づかなければ生きていけない切実な理由がありました。
10月27日、北海道、知床半島。
水しぶきを上げて川に飛び込むヒグマ。俎上(そじょう)してきたサケを咥え、悠然と河辺に戻って行きます。
冬眠を間近に控えたこの時期、餌を求めてクマの活動は活発化します。
北海道で最もクマの生息密度が高いと言われる知床半島。
しかし、こうした光景は知床だけではなくなりつつあります。
10月28日、札幌市内で開かれたシンポジウム。議題となったのは「住宅街に侵入するクマ」。
札幌周辺でクマの活動を調査している酪農学園大学の佐藤喜和教授が指摘したのは、クマの生態の変化です。
佐藤教授:「イメージのギャップを変えましょう。札幌では今、クマは身近な存在、周りにはたくさんクマがいて繁殖しています」
これは佐藤教授の調査で撮影されたクマの映像です。2頭の子グマが母親と戯れる姿が写っています。
この定点カメラが設置されたのは、札幌の住宅地からわずか2キロ。
ゆっくり歩いても約20分の場所でした。
佐藤教授:「お互い、気が付かずに暮らしていますよ。札幌市の特徴というのは、森林と市街地がすごい隣接していること」
酪農学園大学の野生動物生態学研究室では、札幌市内の42か所の山林に定点カメラを設置し、クマの生態を調査しています。
この日の調査は、札幌市南区の住宅地に近い山です。
調査に入ってすぐ、最初のポイントで早速、クマの痕跡が見つかりました。
佐藤教授:「こういう毛からDNAを抽出して個体識別とか性別を調べたりする」
この場所では、定点カメラが故障し、クマの姿を捉えることは出来ませんでした。
次の場所では…、調査用に埋めた杭が、折れていました。
研究室の学生たち:「映っている?」「映ってます、親子も映っています」「折られた瞬間はない」
定点カメラには、2頭の子グマと、大きな母グマの様子がはっきりと映っていました。
札幌では2017年、クマの目撃数が急上昇しています。
10月末時点で103件。すでに2016年の年間目撃件数の3倍に達しました。ここ数年、急激に増えています。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171110-00010000-hokkaibunv-hok
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