ことしのノーベル物理学賞に、巨大な観測施設「LIGO(ライゴ)」を建設して、宇宙空間にできた「ゆがみ」が波となって伝わる現象、いわゆる「重力波」の初観測の成功に貢献した、アメリカの研究者3人が選ばれました。
スウェーデンのストックホルムにある選考委員会は日本時間の3日午後7時前、ことしのノーベル物理学賞の受賞者を発表し、いずれもアメリカの、マサチューセッツ工科大学のレイナー・ワイス名誉教授、カリフォルニア工科大学のバリー・バリッシュ名誉教授、それに同じく、カリフォルニア工科大学のキップ・ソーン名誉教授の3人を選んだと発表しました。
「重力波」はブラックホールが合体するなど、質量をもった物体が動いたときに時間と空間の「ゆがみ」が波となって伝わる現象で、およそ100年前にアインシュタインが存在を予測しましたが、「ゆがみ」が極めて小さいことから直接観測は果たせず、これまで世界中の研究者たちがしのぎを削ってきました。
ワイス名誉教授らは、「重力波」を観測するため長さ4キロメートルのL字型に交差する2本のパイプにレーザー光線を走らせて、それぞれの光線が往復する時間のわずかな変化を測ることで重力波をとらえる方法を提案し、アメリカのワシントン州とルイジアナ州の2か所に巨大な観測施設「LIGO」を建設して観測に挑みました。
そして、おととし9月、重力波の観測に世界で初めて成功すると、その3か月後には2回目、さらにことし1月には3回目の観測に成功し、世界を驚かせました。
また、ことし8月にも、ヨーロッパの観測施設「VIRGO(バーゴ)」とともに4回目の観測に成功したことが、先月下旬、発表されました。
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http://www3.nhk.or.jp/news/html/20171003/k10011166631000.html
重力波は、これまで電磁波などでは観測することが難しかった天体現象をとらえる全く新しい手段として天文学の発展につながり、今後、さまざまな宇宙の謎の解明が進むものと期待されています。