ほかの動物の餌になりにくいと考えられていたクラゲを、ペンギンが頻繁に食べることがわかった。国立極地研究所が22日、発表した。研究チームの高橋晃周(あきのり)准教授は「海の生態系の食物連鎖のなかで、クラゲの役割を見直す必要がある」と指摘している。
特集:どうぶつ新聞
クラゲの体はゼリー状で、約95%が水分で構成されている。食べても栄養はほとんど得られないため、消費エネルギーの多い大型の海の生きものはウミガメなどを除いてほとんど食べないと考えられてきた。
研究チームは2012~16年、南極や豪州、アルゼンチンなど7カ所で、4種類のペンギン106羽の背に小型のビデオカメラを取り付け、計350時間の映像から何を食べているかを調べた。
ペンギンたちは普段、小魚などを食べているが、アデリーペンギンやマゼランペンギンの食べた餌の4~5%、コガタペンギンの餌の平均42%がクラゲだった。小さいクラゲは丸のみし、大きい場合は栄養の多い部分だけをつまんでいる様子だったという。
高橋准教授は「ほかの餌がなく、仕方なく食べているわけではなさそうだ」と話した。研究成果は米生態学会学術誌に掲載された。(杉本崇)
http://www.asahi.com/articles/ASK9Q4K4GK9QULBJ013.html