(一部抜粋)
「元に戻す」のではなく「妥協して我慢させる」
「29年度は基本的に除染しない」という国の方針にのる自治体は多い。だが、除染をしてもやり残しがあったり、除染後に放射線量が再び上がったりする。そこで行われるのが『フォローアップ除染』(2度目の除染)。これは自治体独自に行うのではなく、福島環境再生事務所(環境省)との協議で実施が決まる。
その基準について、福島環境再生事務所に尋ねると「個人追加被ばく線量の状況や生活環境などを多面的に考慮して、局所的な汚染に対する除染をやるか、やらないかを判断するため、基準はない」との不明瞭な回答。実施件数も尋ねたが、明かさなかった。
フォローアップ除染が実施されなければ、初回の除染は完了したとの理由で、ホットスポットが放置されることになる。
実際に郡山市では、住民から市の放射線対策課に「ホットスポットがある」と通報があり、職員が現場で測定をしたものの「周辺よりも高い数値だが、そこに1年間、居続けるわけではない」として除染されなかった。
「元に戻す」のではなく「妥協して我慢させる」考え方だ。
前出の伊藤さんは日々の積算被ばく量を記録している。飯舘村で野外活動をした日と県外へ出かけた日では、被ばく量が倍から数倍違うと言う。
「除染が終わったと避難指示を解除し、家族が帰還する場合、年齢を問わないので子どもも戻れますよね。除染しても、汚染がない土地の10~20倍の放射線量を受け入れて生活することになる。でも、ほかの地域の子どもはそうではない。おかしいですよね」
『いいたてファーム』周辺は、地表1mで毎時1マイクロシーベルト超の空間放射線量。事故前のおよそ33倍を超えるところが多数あった。
除染マネーを食いものにするゼネコン
放射能汚染と除染の“いたちごっこ”のような闘いが続く中、住民は放射性物質だけでなく、行政の監視まで求められている。東京新聞が今年5月に報じた「除染費用の水増し請求」をきっかけに明るみに出た、福島の現実だ。
(全文は以下リンクより)
http://www.jprime.jp/articles/-/10109
週刊女性2017年7月25日号 2017/7/13