安倍政権は、財政推計の「粉飾」を始めるのか
茂木大臣が金利の前提を修正すると発言
野村 明弘 : 東洋経済 記者
2018年01月12日
http://toyokeizai.net/articles/-/204129
長期金利の想定を修正するとどうなるのか
茂木氏の発言は、この試算における長期金利の想定を修正するというもの。具体的にはこれまでの試算では、アベノミクスの成功によって経済成長率や物価上昇率の改善が続き、それに伴って市場で決定される長期金利も上昇していくという前提が立てられていた。
これに対し、茂木氏は、現在、日本銀行が国債の"爆買い"により長期金利を人為的にゼロ%程度に誘導していることを重視、経済が拡大しても長期金利は従来に比べ上がらない想定に置き換えるものと見られる。
金利の想定を変えて、負債を見かけ上軽く
この結果、直接的な影響を受けるのが、一般会計の国債費(利払い費など)の見通しだ。長期金利が上がると国債の利払い費が増加する構造のためだ。
国債費の膨張は、借金に伴う収入や支出を除いたものであるプライマリーバランスには影響しない。だが、国債費膨張による新たな借金拡大により、公債等残高(対GDP比)の増大に直結する。
インフレ率上昇なら長期金利も上昇するはずだが
ただ、こうした安倍政権の姿勢には強い批判も集まりそうだ。国の将来を左右する財政見通しにおいては、時の政権のバイアスのない試算が求められる。
安倍政権は、アベノミクス成功のストーリーに沿ってGDPと税収の拡大という”おいしい”ところだけを織り込み、それに付随するはずの長期金利の上昇というデメリットは意図的に消そうとしている、と受け止めかねられない。
> ”おいしい”ところだけを織り込み
> ”おいしい”ところだけを織り込み
> デメリットは意図的に消そうとしている
> デメリットは意図的に消そうとしている