確かに、法を犯す組織集団は取り締まり対象とすべきだ。しかし同法案のもとでは、市民の人権のために政府を批判する人権活動家やそれを支援する団体も、政府の一方的な判断によって組織的犯罪集団とみなされる懸念は拭えない。人権尊重のために立ち上がる市民の活動や、それを支援する団体の活動は、たとえそれが政府への抗議行動であっても表現の自由・結社の自由によって保障されなければならない。
政府に対し、声を上げることが許される社会が、表現の自由を守る健全な民主主義社会の在り方である。パレルモ条約を批准するためという理由でこの「共謀罪」法案が成立すれば、すでに批准している自由権規約第19条の表現の自由や第22条の結社の自由を侵害することにつながると、アムネスティは強く懸念する。本法案が市民を抑圧する道具とならないよう、成立に対し強く反対する。
2017年3月28日
公益社団法人アムネスティ・インターナショナル日本
http://www.amnesty.or.jp/news/2017/0328_6725.html
(了)