2016年のイギリスEU離脱、ドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領の誕生など、「ポピュリストの勝利」の衝撃冷めやらぬなか、小国オランダ政界の動向に世界が注目している。3月15日に実施される同国の総選挙は、今年、ヨーロッパ各国で繰り広げられる選挙戦の初戦でもある。扇情主義者の言葉を借りると、この選挙の結果は、欧州民主主義の運命を左右するほどではないが、EUの運命を左右するだけの可能性があるそうだ。
現在、オランダ政界は激動期を迎えている。大政党の解体、社会民主主義者の内部崩壊が、グリーン・レフトの躍進につながり、同勢力がオランダ最大の左派政党になる可能性も否めない。しかし、左派の躍進云々よりも、ヘルト・ウィルダース(Geert Wilders)党首が率いる自由党(PVV)、現首相マルク・ルッテ(Mark Rutte)が率いる保守派の自由民主国民党(VVD)、果たしてどちらが〈第一党〉になるのか、世界中のメディアが関心を寄せている。
米国メディアに〈オランダのトランプ〉としばしば称されるウィルダース党首だが、欧州メディアは、〈オーストリア自由党〉(ÖVP)のハインツ=クリスティアン・シュトラーヒェ(Heinz-Christian Strache)、〈フランス国民戦線〉(FN)のマリーヌ・ル・ペン(Marine Le Pen)、〈ドイツのための選択肢〉(AfD)のフラウケ・ペトリー(Frauke Petry)らと同様に、同党首を、〈広義のポピュリスト〉に位置付ける。
しかし、事実はそんなに単純ではない。ヘルト・ウィルダース党首は、トランプ大統領やルペン党首らと同様の主張もするが、他の誰とも異なる政治思想を持つ独自の政治家だ。
http://jp.vice.com/news/geert-wilders-could-disrupt-the-dutch-election