森友学園問題 首相夫人付「いけにえ」か|佐賀新聞LiVE
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「森友学園」問題で、安倍昭恵首相夫人付の政府職員が取った行動と、国有地払い下げとの関連が注目を浴びている。政府は財務省への照会を「職員の独断」と説明し、夫人の関与を全否定した。官僚の「忖度(そんたく)」はあったのか-。霞が関で本音を探ると、政府の切り捨てとも取れる対応に「自分も『いけにえ』にされたらと思うとぞっとする」との声も聞かれた。
▽秘書的役割
「ゼロ回答であり、忖度していないことは明らかだ」。3月24日の参院予算委員会で、安倍晋三首相はこう強調した。
籠池泰典前学園理事長の証人喚問を機に、昭恵夫人付(当時)の谷査恵子氏が学園側から要望を受け、財務省に照会した結果をファクスで回答したことが判明。野党側は「口利きそのものだ」と色めき立った。政府は、照会が国有地売買に与えた影響を繰り返し否定しており、約8億円の値下げの理由は不透明なままだ。
昭恵夫人には、外務省と経済産業省出身の官僚5人が「秘書」的な役割を担っている(今年3月現在)。昨年夏の参院選での選挙応援にも一部が同行していた。野党はこれが政治的行為を制限する国家公務員法違反に当たると批判するが、政府はあくまで「連絡調整のため」の同行と言い切る。
▽びびる
日常的に政治家から個人まで、多種多様な問い合わせや苦情を受ける中央省庁。明確な指示なしに「上」の意向を酌んで動くことはあるのか。
経産省の30代の官僚は有力政治家や秘書からの問い合わせに「無言の圧力を感じる」と打ち明ける。「相手の機嫌を損ねないよう気を付けていた。できるだけ関わりたくない」とも。「日々、法案作成で圧力を感じる」(農林水産官僚)などの声は霞が関のあちこちで聞こえる。
財務省の佐川宣寿理財局長は国会答弁で、一般市民の問い合わせにも「職員が丁寧に答えている」と説明。谷氏の照会もこうした対応の一つにすぎないとの見解だ。
だが、官僚の本音は違うようだ。40代の厚生労働官僚は「首相夫人付から照会が来たらびびる。大臣まで話を上げて、官房マターになる」と明かす。
相手によって対応を変えるのも常識のようだ。「与党と野党、議員と市民団体で差をつけるのは当たり前」と赤裸々に語るのは40代の経産官僚。文部科学省のキャリアも「相手が大物ならかみ砕いた資料を作って持参することもある」と話す。
▽弁護の声
「首相夫人になると権力者に一番近いところにいると思われる。『これを伝えて』というオファーが格段に増えた」
民進党の菅直人元首相の妻伸子氏が当時を振り返る。「伸子さんが言えばどうにかなるでしょ」と頻繁に言われ、「さまざまな腹積もりの人」に利用されないよう警戒していたという。
昭恵夫人を支えてきた谷氏は、籠池氏の証人喚問後も沈黙を続けている。独断で動いたとされていることには、野党も「一生懸命尽くした結果、こんなふうに言われるとはひどい」と同情を示し、官僚からは「(籠池氏に)ファクスを送るまで独断でやることはまずないだろう」(厚労省中堅幹部)と“弁護”の声が上がる。
忖度や口利きの有無を巡る議論を早く鎮め、幕引きを図りたい政権側。ある中央省庁の4