2017年1月13日、安倍内閣は最高裁判事が定年退官を迎える最高裁判事の後任を閣議決定しました。
定年退官
桜井龍子判事 2017年1月15日
大橋正春判事 2017年3月30日
後任
山口厚氏
林景一氏
さて問題になるのは、何故、このような人事が行われたのかです。
従来、不文律で最高裁判事は、出身による枠組みがありました。おおよそ次の枠組みとなっています。
裁判官出身 6名
弁護士出身 4名
検察官出身 2名
行政官出身 2名
法学者出身 1名
桜井判事は行政官であり、その枠には林景一氏(外交官)が入り、大橋正春判事は弁護士であり、その枠に山口厚氏ということになりますが、これまでの枠組みが壊されました。山口氏は、弁護士登録をしているとはいえ、本籍は学者(刑事法)です。
既に弁護士枠が減らされたということについては、ネット上でも飛び交っており、問題視されています。これは次に述べるとおり、「既得権」という問題ではありません。
早稲田大学ホームページより。本籍は学者です
山口厚
https://www.waseda.jp/top/news/47921
先日、私は、はじめてこの山口氏の任命の経緯を知りました。といっても核心部分はわかりません。
日弁連理事会報告が昨日の札幌弁護士会常議員会でありました。
中本日弁連会長からの報告(伝聞)になりますが、概要、次のとおりです。
日弁連から、弁護士の中から推薦名簿を最高裁判所裁判官推薦諮問委員会に提出したが、その中には山口厚氏は入っていなかった。
政府からこれまで以上に広く人材を集めたいという意向をを受け、最高裁が日弁連提出の推薦名簿以外に山口厚氏ら複数名を加えた。これについて日弁連に対し意向確認等はなかった。
結果は、日弁連提出の推薦名簿以外の山口厚氏が任命された。
この「政府から」の「政府」が具体的に誰を指すのか、「最高裁が~加えた」というときの「最高裁」とは具体的には事務総局なのかなどまだまだわからないところがあります。日弁連執行部では「調査中」ということでした。
最高裁の人事が従来の慣例を破って安倍政権が最高裁人事に直接、介入してきたという疑いが出てきた、しかもかなりそれが濃厚だという問題です。
最高裁判事は、内閣が任命しますが(憲法79条1項)、最高裁は内閣(行政)に対して違憲立法審査権を行使することによって権力行使を憲法の観点から抑制する国家機関(最高裁)の構成員であり、立憲主義という点でも非常に重要な役割を担っています。
この人事を内閣が恣意的に行うのであれば、内閣に都合のよい人事をすることによって最高裁の独立性が失われ、内閣の事実上の統制下に置くことを可能にしてしまいます。
http://blogos.com/outline/207598/
猪野 亨 2017年01月27日 10:28