(長いので一部抜粋)
「福岡市地下鉄七隈線建設技術専門委員会 議事録」というタイトルの20枚の資料だ。七隈線延伸工事で、トンネルの掘削などの工事に関して、大学教授ら専門家と福岡市が協議した会議録が記されていた。
会議は2012年から16年にわたり6回、開催。九州大学の教授ら専門家、福岡市交通局の担当者が出席したが、今回の陥没事故があった区間について重点的に議論されたのは、事故の約2カ月前に開催された第6回会議(16年8月30日)。
6人の委員と、福岡市交通局の理事、課長が出席した会議では、今回の陥没事故を予測する話が出ていたのである。
この日の会議で論議されたのは、崩落事故の要因の一つとされている「ナトム工法」という手法についてだった。ナトム工法は福岡市が工事発注時、採用したが、既存の重機でトンネルを掘り、周囲をセメント、鉄骨などで固めて補強し、さらに先を掘っていくというものだ。固い地盤には適しているが、地下水には弱いというリスクがあった。
会議ではトンネルの地表に近い地盤が軟弱なので、トンネル天井部の高さを1メートル程度下げて掘り進めたいと福岡市交通局が提案していた。
それに対して、専門委員から、トンネル天井部の地層は<ボロボロの岩であった><外圧を加えるとどんな亀裂が入るか><見た限り、かなりボロボロの(地)層なので水位が下がり沈下が起こっている可能性は否定できない><(掘削は)注意深く行わないといけない。かなり危ないのではないか>などと、次々と危険視するような意見が出た。
すると委員長が<だから下げたのではないか>とトンネル天井部の位置を下げることで回避できるという助け舟のような発言を述べた。
しかし、別の委員から<下げたとしても心配><地表面沈下につながる>と今回の陥没事故を予見するような発言まで出ていたのだ。
このようなトンネル工事では、地表が一定の割合で沈下することが予想されるため、どの程度の沈下であれば許容できるのか、その値を数値化して、目安にして工事が進められる。
今回の工事による地盤沈下を想定する、地表面沈下の管理値は、30ミリと設定されていた。
だが、陥没事故現場から数十メートル離れた場所では、沈下量が30ミリでは収まらないので、50ミリにしたいという提案がされていた。すると、専門委員から、<管理値がなんのためにあるのか分からなくなる><高規格道路では10ミリ沈下するとアウト><恣意的な管理値の動かし方になる>と厳しい指摘が次々と出ていた。また、地下鉄工事というインフラ建設だけに、<公共のものなどがあった場合は慎重に考えたほうがよい>と意見する委員もいた。
だが、福岡市交通局は、<長期的な沈下はないように見える><現場も沈下による影響は見受けられない><安全確認をして施工していきたい>と委員の危惧する意見を押し切った。最後に委員長も<この場で承認したい>と述べて、認めていた。
全文はソースで
スクープ! 博多陥没の内部資料入手 福岡市は事故リスクを黙殺していた! (1/4) 〈週刊朝日〉|dot.ドット 朝日新聞出版
https://dot.asahi.com/wa/2016122700138.html