国連の安全保障理事会は二十三日、紛争が続く南スーダンへの武器禁輸などを定めた制裁決議案の採決を行い、不採択となった。理事国十五カ国のうち賛成は七カ国で、採択に必要な九カ国に届かなかった。日本は棄権した。
採決では、決議案を主導した米国と英仏、スペイン、ニュージーランドなど計七カ国が賛成。日本や中国、ロシアなど八カ国は棄権した。同盟国である日本と米国との足並みが乱れるのは極めて異例だ。
現地の国連平和維持活動(PKO)に陸上自衛隊を派遣している日本は、安保理制裁が南スーダン政府の反発を招き、治安が悪化することを懸念。岸田文雄外相は「南スーダン政府が進める地域保護部隊の早期展開や国民対話の取り組みを後押しすることが重要だ」と述べ、制裁に慎重な考えを示していた。
南スーダン政府は安保理が八月に決めた治安部隊の四千人増派に反発していたが、十一月に受け入れを決定。日本が賛成しなかった背景には「南スーダン政府が努力の姿勢を見せている時に制裁を科すのは効果的ではない」(外交筋)との判断もあったとみられる。
決議案は南スーダン政府と反政府勢力の双方への武器関連物資の輸出や軍事活動への財政支援を禁止し、政府の閣僚や反政府勢力トップを渡航禁止や資産凍結の制裁対象とする内容だった。
南スーダン情勢をめぐっては、潘基文(バンキムン)事務総長がジェノサイド(民族大量虐殺)の危険性を指摘し、安保理の対応を求めていた。
ソース
東京新聞:南スーダン制裁案否決 武器禁輸などで安保理 米賛成、日本は棄権:国際(TOKYO Web)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/list/201612/CK2016122402000131.html