管楽器の内部には台所の排水口を上回る密度のカビが生息……。
そんな実態を大阪市立自然史博物館の浜田信夫・外来研究員が調べた。
学校でも近年人気が高い吹奏楽。
浜田さんは「中高生のほうが年長者より掃除を怠る傾向が強かった。手入れの習慣を身につける必要があります」と呼びかけている。
(中略)
金管楽器のうち、ユーフォニウム(10台)は調査部位1平方センチあたり、平均で7487個▽テューバ(13台)は4037個▽トランペット(28台)は819個▽ホルン(21台)は791個▽トロンボーン(28台)は341個。
平均は977個で、最多はテューバの18万個。1千個を超えた56台のうち、33台が1千ー9999個だった。
木管楽器はサクソフォン(16台)が73個▽クラリネット(32台)は29個▽フルート(13台)は13個。平均で金管楽器の28分の1だった。
また、金管楽器の調査対象者のうち「普段あまり掃除をしない」とした人が5割に達し、カビの数も多かった。
掃除が月1回以下の楽器と週1回以上掃除される楽器とでは、カビの数は10倍以上の差があった。
浜田さんの過去の調査では、台所のシンクの排水口付近が244個、浴室壁面の目地が688個、浴室の排水口で3190個。
楽器内は住宅の水回りに匹敵する数値だった一方、多くが金属製のためか、室内によくあるカビとは種類が異なっていたという。
今夏、英国のバグパイプ奏者が楽器からカビ胞子を大量に吸い込み、アレルギー性疾患で死亡したとみられる事例が報告された。
浜田さんは「死亡例はこの1件で、実際には健康へのリスクは高くないと思う。だが、衛生的に問題なのは明らかで、注意は必要です」と話す。
研究成果は16日、茨城県つくば市である室内環境学会で発表される。
全文は朝日新聞デジタルで
http://www.asahi.com/articles/ASJDD7TD9JDDPLZU007.html