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提案者は、カジノによって夢のような経済効果があるといいます。しかし、シンガポールの例を繰り返すだけで、具体的な根拠はなにも示していない。わが党が質問でも明らかにしたように、IR方式の施設の破たんは世界のあちこちで起きています。経済効果は何の根拠もありません。あるのは、賭博を通じて、巨大なお金が右から左へと流れ、カジノの胴元に巨額なてら銭が転がり込むことだけです。
暴力団など反社会勢力がカジノ利権に食い込みをはかることは、わざわざ証明するまでもなく火を見るよりも明らかです。マネーロンダリングの場となることも、世界のカジノ実態をみれば防ぐことはできないでしょう。
国民にとってより深刻なのは、ギャンブル依存症の拡大です。すでに我が国には、536万人のギャンブル依存症の患者がいることが、審議のなかで明らかになりました。ギャンブル依存症は、慢性、進行性、難治性で、放置すれば自殺に至るという極めて重篤な疾患です。これらの患者をそのままに新たなギャンブル依存症患者を生み出すことは到底許されることではありません。提案者は、カジノ収益からでる納付金でギャンブル依存症対策を講じるなどと述べましたが、これこそまさに本末転倒のお手本で、ギャンブル依存症に真剣に取り組むというのなら、新たな発生源を作らないことこそ、必要だと言わなければなりません。
賭博には必ず敗者が存在します。大数の法則で、必ず胴元が勝つ、ここにカジノ営業の根拠があります。日弁連がおこなった破産調査の結果によると、ギャンブルが原因とみられる破産者は全体の5%に上ります。カジノは多重債務者を作り出さざるを得ません。韓国のカンヲンランドはそのことを如実に示しています。この間、官民一体となって行ってきた多重債務者対策にも逆行するものです。
(続く)