2016年11月29日に公開されたインターネット・アーカイブの公式ブログの中で、トランプ政権によるインターネット検閲の強化に備え、インターネット・アーカイブ上に存在する膨大な量のデータのミラーサーバーをカナダに構築する計画を創設者のブリュースター・ケール氏が発表しました。なお、いつ・カナダのどこにサーバーを設ける予定なのか、その詳細は明かされていません。
ブログの中でケール氏は、11月9日の選挙後にトランプ次期大統領率いる新政権が徹底的な変革を行うであろうことに気づいたと語っています。そしてそれに伴い、インターネット・アーカイブのこれからのあり方を考え直す必要性に迫られたことも明かしています。インターネット・アーカイブにとって重要なことは保管するデータを安全かつプライベートに守ること、そしてインターネットユーザーが常にそれらのデータにアクセスできるよう維持することであり、ケール氏は「ユーザーのデジタル世界におけるプライバシーを守るため、我々は戦う必要がある」とサーバー移転の必要性について語っています。
トランプ氏はアメリカ大統領選挙の選挙期間中、インターネットの検閲について強硬姿勢を示しており、2015年には「イスラム系テロリスト集団と戦うためには、インターネットを閉じるという手段を検討すべきだ」とまで発言していました。もしもトランプ氏のこれらの発言が本気のものである場合、インターネット・アーカイブにとっては大きな問題となります。例えば反過激派のClarion Projectでは、ISISのプロパガンダ雑誌である「Dabiq」を公開しており、インターネット・アーカイブではそれらのデジタルデータをアーカイブしています。もしもこういった類いのデータが「アクセスできないようにすべきデータ」と判断された場合、これまでと同様にデータを保管しておけるようにミラーサーバーが必要となるかもしれません。
ソース
http://gigazine.net/news/20161130-internet-archive-trump/