次の戦場は宇宙、米軍が準備加速 衛星に迫る中ロの脅威
ワシントン(CNN) 宇宙は人類が初めて進出して以来、これまでおおむね平和な環境が保たれてきた。しかし各国が大気圏を越えて兵器を展開させるようになった今、米軍も宇宙戦争を視野に入れた戦闘準備に乗り出している。
「人類が行く所には常に衝突があった」。米戦略軍のジョン・ハイテン司令官はそう振り返る。「つまり人類が物理的に進出するたびに衝突は起きる。我々はそれに備えなければならない」。
宇宙空間でも米国の主な仮想敵国はロシアと中国。シリアからウクライナ、南シナ海、サイバー空間に至るまで、地上の争いは既に大気圏を越えて拡大しつつある。
中国とロシアは宇宙空間で米国に対抗するための最新鋭兵器を配備してきた。ロシアは米国の衛星にひそかに接近する「コスモス2499」など複数の衛星を展開。これらはカミカゼ衛星と呼ばれ、命令を受ければ米国の衛星に体当たりしてこれを無効化もしくは破壊する。中国は米国の衛星をつかんで軌道の外に出すためのアームを搭載した衛星「試験」を打ち上げた。
地球から約160キロ上空にある国際宇宙ステーション(ISS)の軌道から、GPS衛星がある約2万キロの軌道、そして軍の通信や核攻撃の早期警戒警報を担う米国家安全保障上最も重要な衛星のある3万5400キロの軌道。そのいずれの軌道でも、近いうちに敵国が米国の衛星を脅かすようになるとハイテン氏は予想する。
そうした事態に備えて新設された米宇宙軍は人員数3万8000人、年間予算は89億ドル(約9970億円)、世界各国に134の拠点を持つ。
このうち第50宇宙航空団では8000人が米国と外国の軍事衛星を監視する。今のところ任務は監視に限られ、宇宙空間で反撃する能力はない。
「宇宙空間に衝突が拡大した場合の作戦準備」が整っていないとして2015年に重大な懸念を示したロバート・ワーク国防副長官は、今年4月、もし宇宙空間で攻撃を受ければ反撃に出て、相手を撃退すると宣言した。
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