僧残の五 仲人をすること
仏が祇園精舎にいるとき、ウダーイー比丘は民家に足しげく通っていた。
未婚の少年、未婚の少女を見かけると、彼は両家の両親に縁談を持ちかけた。
両親たちは「互いのことは誰だか知らないけれど、坊さんが言うのだから」と
子供たちを結婚させた。
そのときとある売女上がりの女の娘が美人だった。遠くの村の異教徒たちが
やってきて、「ぜひ娘さんをうちの子に」とその売女に乞うたが、売女は
「一人娘を遠くの村の誰だか知らない家にやれるか」と言って断った。
人々はその異教徒たちに言った。
「結婚ならウダーイー様に世話してもらうといい」
頼まれたウダーイー比丘は売女のところに行ってこう言った。
「彼らは誰だか知らない者たちではない。私が彼らのことを知っている。
彼らに娘をやるといい」
売女は「ウダーイー様が知っているのなら」といって、娘をやった。
その異教徒たちは、その娘を最初の一か月間は義娘として扱ったが、
そのあとは下婢として使い始めた。
その娘は母親のもとに使者を送った。
「私は悪いところに来た。苦しい。母さん、私を連れだしてくれ」
母親はその異教徒たちの家に行ったが
「お前は誰だ? 知らないな、帰れ」と言われて相手にされなかった。
ウダーイー比丘もその異教徒たちの家に行ったが、やはり相手にされなかった。