トランプ米大統領の誕生に、日本の外交・安全保障政策に携わる関係者の間では戸惑いの声が広がっている。選挙期間中の発言通り孤立主義的な方針を取るなら、日本は自主防衛の強化を迫られる。
しかし、日本は同陣営とのパイプが希薄で、米国の安全保障政策がどう変化するか見極められていないのが実情だ。
◆「矛」と「盾」の役割見直しも
トランプ氏は選挙期間中、米軍駐留費を増額しなければ日本や韓国から撤退するなど、同盟国との関係見直しをほのめかしてきた。安倍晋三政権は集団的自衛権の行使を可能にするなど、自衛隊の役割を拡大して日米同盟の強化に腐心してきたが、トランプ政権の誕生で政策転換を迫られる可能性が出てきた。
日本の元外交官は「日本は考え方を変えなくてはならなくなる。強い米国に守られていることに慣れきっていた」と話す。
日米は自衛隊と米軍の役割分担を定めた「防衛協力の指針(ガイドライン)」を2015年に見直したが、米軍が「矛」、自衛隊が「盾」という基本原則を変えるところまでは踏み込まなかった。
しかし、中国が軍事力を増強し、北朝鮮が核・ミサイル開発を放棄しない中、トランプ次期政権の方針次第では、敵基地を攻撃する打撃力の保有議論が日本国内で盛り上がる可能性がある。
外務省関係者は「自主防衛の強化を望む人たちにとっては、あれもこれも必要だ、と主張できるようになる」と指摘する。
◆知日派のキーパーソン
とはいえ、トランプ氏が発言通り同盟国に負担増を求めるのかどうかを含め、日本政府は次期大統領の外交・安保政策の中身を具体的に把握できていない。ワシントンの日本大使館が今年に入ってトランプ陣営の情報収集と分析を進めてきたが、関係者によると、外務省幹部が知日派のキーパーソンに接触できたのは、最近のことだという。
以下ソースで
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2016/11/post-6259.php