インターネットへの接続機能を持つ市販の「スマートテレビ」の画面を停止させ、不正に金銭を要求する脅迫文を表示させる新種のウイルスが、日本国内で今年に入り、300件以上検出され、複数の感染被害も出ていることが28日、分かった。これまで家庭ではパソコンが主な標的だったサイバー攻撃が、IoT(モノのインターネット)の導入が進む家電にも及んだことになり、関係者は注意を呼びかけている。
ウイルス対策ソフトを開発・販売するソフト会社、トレンドマイクロ(東京)が確認した。スマートテレビなどで約400万個利用されている同社の対策ソフトが新種ウイルスを約320件検出。ほとんどは感染を免れたが、複数の被害も同社に報告された。スマートテレビへのサイバー攻撃が明らかになった事例は珍しいという。
テレビ上で音楽やゲームなどのアプリをダウンロードした際に感染する恐れが高く、感染すると、正常に動いていたテレビの画面が急に停止。代わりに、画面上には日本語や英語で、法務省や米国土安全保障省などを装い「ブロックを解除するためには、1万円を支払ってください」「あなたは違法なことをした」などとする虚偽のメッセージが表示される。視聴者に米アップル社が提供するプリペイドカード「iTunes(アイチューンズ)カード」の購入を求め、金銭と同じ価値のある裏面のコード番号を打ち込むように促す。72時間の制限時間を示し、時間内に支払えなければブロックが解けないと脅す。
感染後、約30分後にウイルスが発動しテレビ画面が停止する仕組み。脅迫画面が表示されると、コントローラーで動かしてもつけ直しても元に戻らない。復旧には、テレビの基本ソフト(OS)を初期化しなければならず、メーカーに問い合わせる必要がある。
電子情報技術産業協会(JEITA)によると、薄型スマートテレビの平成26年からの国内出荷台数は累計760万台以上。トレンド社は「感染しても絶対に支払わないようにしてほしい」としている。
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