日銀総裁 物価目標達成時期を先延ばしの可能性も
10月21日 16時10分
日銀の黒田総裁は、21日に開かれた衆議院財務金融委員会で、2%の物価目標を達成する時期について、総裁の任期のほぼいっぱいにあたる「来年度中」としてきたこれまでの見通しを先延ばしする可能性があるという認識を示しました。
この中で黒田総裁は、日銀が「来年度中」としている2%の物価目標の達成時期について、「物価上昇率がマイナスに陥っていることを考えると、修正もありうる」と述べ、来月1日に日銀が公表する経済と物価の最新の見通し「展望レポート」で、達成時期の見通しを先延ばしする可能性があるという考えを示しました。
物価目標の達成時期が先延ばしされると、黒田総裁の任期である再来年の4月8日までには間に合わないという見通しを日銀みずからが示すことになります。
これについて、黒田総裁は「私の任期と、成長率や物価がどうなるかは特別な関係はない。日銀として物価安定を達成する使命は引き続きある」と述べました。
また、黒田総裁は、先月導入した、長期金利と短期金利の両方に誘導目標を設ける新たな金融緩和策について、「現時点で、経済・物価・金融情勢が大きくは変わっていないので、すぐに変更があると考えるのは難しい」と述べ、当面は今の金融政策の効果を見極めたいという考えを示しました。
2%達成時期 先延ばしは4回に
日銀は、黒田総裁が就任した直後の2013年4月、2%の物価上昇率を目標に掲げ、これを2年程度で達成するため、大規模な金融緩和策を導入しました。
この方針に沿うように、日銀は、2%の物価目標を達成する時期の見通しを、「2015年度を中心とする期間」としていました。しかし原油価格の下落などによって物価が思うように上昇しないことから、去年4月、物価目標の達成時期を「2016年度前半ごろ」に先延ばししました。しかし、その後も原油安が続いたことや、消費税率の8%への引き上げによる消費の低迷もあって物価が上昇せず、日銀は、物価目標の達成時期の先延ばしを余儀なくされます。去年10月には「2016年度後半ごろ」に、ことし1月には「2017年度前半ごろ」に、そして、ことし4月には「2017年度中」と、先延ばしは、4回に上ります。
しかし、全国の消費者物価指数は、ことし8月まで6か月連続でマイナスの水準にあり、目標の2%とはほど遠い状況が続いています。日銀は、来月1日に経済と物価の最新の見通し、「展望レポート」を公表しますが、ここで物価目標の達成時期の見通しをさらに先延ばしする公算が大きいと見られています。現在の見通しは、「2017年度中」、つまり、再来年の3月末までとしていますが、これがさらに先延ばしされれば、黒田総裁の任期である再来年の4月8日までに物価目標の達成は困難であるという見通しを日銀みずからが示すことになります。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20161021/k10010737991000.html