「働き方改革」に騙されるな! 安倍政権の狙いは年収400万円でも「残業代ゼロ」、過労自殺の電通社員と同じ目に
リテラ 2016年10月19日
安倍政権は発足以来、「1億総活躍」「女性活躍」などの労働改革をスローガンとして掲げてきた。今年夏に発足した第三次安倍内閣でも「最大のチャレンジは"働き方改革"」として、今国会でその成立を目指す方針としている。9月2日には杉田官房副長官を室長に「働き方改革実現推進室」をもうけ、また有識会議「働き方実現会議」をスタートさせた。
しかしその内実はといえば、安倍首相がいう言葉とは真逆で、タダ働きを可能にする「残業代ゼロ」制度であり、「過労死促進」法案なのだ。
この問題について追及した『あなたを狙う「残業代ゼロ」制度』(昆弘見/新日本出版社)には、長時間労働や過労死などが全て労働者の自己責任となってしまうこの法案の危険性、そして安倍政権と財界の思惑が指摘されている。
「働いた時間ではなく、成果で賃金を払う」
安倍首相が長時間労働是正のためとしてぶち上げたのが「高度プロフェッショナル制度」だ。これは管理職の手前の年収1075万円を超える高度な専門知識が必要な労働者について、労働時間規定を「適用除外」するというもの。しかし、そこには大きな落とし穴が存在する。
〈特別の立場の人に限って適用除外としてきたこれまでの(労働基準法の)判断を変えて、管理監督者ではない、その一歩手前の労働者、安倍首相の表現をかりれば「専門性の高い仕事」の人に広げようとしているのが今回の改正案です。管理監督者になる手前の労働者は、どこの会社でも労働時間が長く、一番の働き手、働き盛りの層。その労働者たちを労働基準規制の対象外にする。そして、どんなに長時間働いても残業代を出さなくていい仕組みをつくろうということです〉
長時間労働是正と言いながら、残業代を支払わない。しかも何時間働くのか明確な取り決め規定もないため、経営者の思いのままに長時間働かされることになる。しかもそれは深夜や休日の割増賃金など全てが含まれるものだ。現行では労働時間規制が除外されている監督管理者でも、深夜などの割増賃金は支払われる。ところが、この法案では監督管理者でもない労働者が労働時間規制除外だけでなく、割増賃金も支払われなくなる。
また、現行の労働基準法は、長時間労働を規制し、企業が休日を確保することを義務付けている。これに違反した経営者には罰則規定もある。しかし、その罰則規定も今回の法案ではなくなっている。
〈労働者は、長時間労働から自分の身を守るよりどころを失ってしまいます。一方、経営者は、労働時間を管理する責任がなくなります。労働者が働きすぎて体をこわして働けなくなったり、「過労死」することがあっても、労働者の自己管理が悪かった、自己責任だと言い抜けることができるようになってしまいます〉
本書では改正法案を「過労死促進法案」と断じているが、その通りだろう。
一部抜粋、全文は以下から
http://lite-ra.com/2016/10/post-2633.html