「グレートバリアリーフ死去」、雑誌の死亡記事で物議
(CNN) 「オーストラリアのグレートバリアリーフが2016年、長い闘病の末に死去した。2500万年の生涯だった」――。米アウトドア雑誌アウトサイドにそんな「死亡記事」が掲載され、読者や専門家の間に戸惑いや反論の声が広がっている。
グレートバリアリーフはユネスコの世界遺産に指定された世界最大のサンゴ礁。アウトサイドの記事はその生涯や生態系の中で果たした役割、世界的な名声を紹介し、サンゴの白化のために健康状態が悪化して、2016年に死亡したと結んでいる。
これについてサンゴ礁の生態系に詳しい米海洋大気局(NOAA)のラッセル・ブレイナード氏はハフィントンポストの取材に対し、記事の狙いは事態の深刻さを訴えることにあるようだが、文脈が分からない読者は「額面通りにグレートバリアリーフが死んだと受け止めてしまうだろう」と懸念を示した。
実際にソーシャルメディアでは誤った情報が広まっている。ツイッターにはグレートバリアリーフの死を悼み、この結末に目を向けて深刻に受け止めるよう促す投稿が掲載された。
死亡記事を執筆したのはグルメや環境問題を担当する記者で、科学者ではない。しかし一部メディアは科学者がグレートバリアリーフの死を宣告したと伝え、一層の誤解を招いた。
ただしグレートバリアリーフが深刻な状況にあることは誰にも否定できない。オーストラリア政府に学術研究上の助言を行う豪州研究評議会(ARC)に属するサンゴ礁研究所の調査によると、同リーフの93%は白化現象の影響を受け、リーフは絶滅の危機に瀕している。
アウトサイドの記事では、グレートバリアリーフが死亡した原因はオーストラリア政府にあるとする説を展開。政府が観光業への影響を懸念して国連に圧力をかけ、気候変動に関する報告書からグレートバリアリーフに関する内容を削除させたとしている。
全文はこちら http://www.cnn.co.jp/fringe/35090621.html
http://www.cnn.co.jp/storage/2016/10/17/082e47490b590c94459497ba9ce1ead1/coral-bleaching-great-barrier-reef.jpg