北朝鮮国民は心の中で金政権を激しく憎んでいた
米国研究機関が北朝鮮で世論調査を敢行、国民の本音が明らかに
2016.10.12(水) 古森 義久
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/48101?page=3
政府による経済活動への弾圧に強い怒り
BPの発表によると、「政府の食糧配給制度は、あなたの生活の維持に必要な食糧を提供しているか」という問いに対して、肯定する答えはゼロだったという。中には、1990年代には十分な食糧が配給されていたが今はそうではない、という答えもあった。同調査はそうした声を踏まえ、「北朝鮮政府が内外に宣伝してきた食糧配給制度は事実上崩壊している」と結論づけていた。
また、「政府のどんな措置に最も怒りを感じるか」という質問に対しては、「闇ビジネスや闇市場利用など私的な経済活動を厳しく弾圧する措置」という答えが圧倒的に多かった。
北朝鮮では共産主義の計画経済制度の建前から、個人の私的な商売や物品売買は禁じられている。政府はそうした闇の経済活動を違法行為として取り締まるのだが、今回の調査に応じた国民の間では、政府の弾圧措置に最も激しい怒りや反発を感じるという回答が圧倒的に多かったという。
弾圧の実例として、北朝鮮政府が2009年に強行した「デノミネーション」(通貨切り下げ)を指摘する回答者も多かったという。当時、政府は民間の闇資金を収奪することを目的に、旧通貨100ウォンを新通貨1ウォンにする強制的な切り下げを行った。その結果、国民のタンス預金や秘匿外貨が奪われ、経済は大混乱を引き起こした。自殺する者も数多く現れたという。北朝鮮国民は今なお7年前の政府のこの措置に激しい恨みを抱いているというわけだ。
さらに同調査の総括報告によると、回答者の多くが、金正恩政権の市場経済制の中途半端な導入や賄賂の横行、政府への強制的な寄付制度などを、国民からの不当な搾取だとして非難している。一方、自分の子供には外国語を習得させるという声も聞かれ、国民の間でも金正恩政権が長くは続かないとの見方があることがうかがい知れる。
(全文は以下リンクより)
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/48101