人間の糞便の中に潜むバクテリアが、「人間の体脂肪レベルに影響を及ぼすかも知れない」という研究結果をキングス・カレッジ・ロンドンの科学者が発表しました。
キングス・カレッジ・ロンドンの科学者が研究のために3600組以上の双子の糞便サンプルを調査したところ、糞便の中のバクテリアのいくつかは親から遺伝したものであることが明らかになりました。また、研究では被験者の糞便の中のバクテリアを調査し、これとBMI値などを含む肥満に関する6つの指標を比較。その結果、糞便中に多種多様なバクテリアを持っている人ほど内臓脂肪が少ないことも明らかになっています。なお、内臓脂肪は肝臓・膵臓・腸などの腹部にある重要な器官のまわりにつくもので、これが多いと心疾患や糖尿病などのリスクが高まると考えられています。
研究を指揮したのは双子研究や遺伝学、疫学のエキスパートであるミッシェル・ボーモント博士。ボーモント博士は「今回は観察研究であったため、我々は正確にどのバクテリアが体脂肪に関係しているのか、あるいは異なるメカニズムが体重増加につながっているのか、を説明することができない」とコメント。なお、2つの関係性を説明する学説のひとつとして、「糞便中のバクテリアの種類が不足することで、腸内の微生物レベルが高まり炭水化物を脂肪に変える作用が進む」というものが挙げられています。
さらに、ボーモント博士は「腸内で『バクテリアがどのように作用しているか』や『我々の糞便が健康にどのように影響するか』を解き明かすために今後さらなる研究が必要になる」とも述べています。しかし、人間の糞便の50%は腸内から流れ出たバクテリアで構成されていることからも、腸内バクテリアが肥満にとって大きな役割を担っていることは明らかです。
http://gigazine.net/news/20160928-body-fat-bacteria-faeces/